あま酒

甘酒

甘酒は、米とこうじ(糀・麹)と水から造られる白くて甘い飲み物です。ひな祭りでは白酒と呼ばれ、噛む必要も消化する必要もほとんどなくて吸収がよく、栄養価が高い為か、江戸時代には夏バテ防止にと子供からお年寄りまで好んで飲まれていたそうです。その為、甘酒という名詞は俳句の世界では夏の季語とされ、古くから親しまれてきました。

甘酒には、酒粕を水に溶いて砂糖で甘味をつけてつくる甘酒もありますが、米とこうじからつくる甘酒は砂糖を使わないのにハチミツのように甘くなるという、ちょっと不思議な飲み物です。何故こうなるのかというと、こうじ造りの際にこうじ菌が作る酵素こうその働きで米のデンプンが分解された結果、そのデンプンが、人が舐めた時に甘く感じるとうになるからだそうです。この、デンプンを糖に変えることを糖化とうかといい、この糖は主にブドウ糖で、ブドウ糖は病院で使われる点滴の主成分であることから、甘酒は飲む点滴とも言われます。

甘酒と同じく、米とこうじと水から造り出される飲み物に日本酒がありますが、日本酒と甘酒の違いは発酵微生物の一種である酵母こうぼの働きを受けているか否かにあります。日本酒造りでは、米とこうじで造られた甘酒に酵母菌の力が働いてアルコールが造り出されます。これがどぶろくで、これを布などで漉して分けられた透明な液体が日本酒です。一方の甘酒づくりでは、腐敗防止の為に微生物が働けない環境をつくります。その環境下では発酵微生物である酵母菌も働けないので、アルコールは造られません。

甘酒は、「酒」の字は付くが酒ではなく、ノンアルコールで、昔から発酵食品の一つと言われてきたが、その製造に発酵微生物が関わっていないので今は正確には発酵食品ではないという、この点でもまた不思議な飲み物になりつつあります。

世間にはたくさんの種類の飲み物が溢れていて、甘酒はこれまで飲み物としては地味な存在であり続けてきましたが、そんな甘酒の実は栄養豊富で人に優しく、自然な飲み物なところが近年見直されてきています。

甘酒のつくり方

甘酒の美味しい飲み方

まずはプレーン(何の味付けもしていない)でお楽しみください。この味はお米の味かこうじの風味か、そしてその甘味。味が単純と思えてきたら塩を一つまみ入れてみてください。塩だけの味付けです。甘い甘酒に塩。味に深みが出るでしょう。もし飽きたり興味がでましたら、以下の味付けを参考にしてみてください。

発酵食品同士はよく合う

味付けしたり混ぜて合う組み合わせを見ていると発酵食品同士というのは合うようで、例えば、味噌と甘酒を混ぜるとこれがまた美味しく、新鮮なキュウリやキャベツ、コンニャクにつけて食べると美味しいようです。

甘酒そのものを味付けするなら・・・

レモン/トマト/マンゴー/ブルーベリー、ココア、紅茶/抹茶、牛乳/生クリーム、ヨーグルト、焼酎/日本酒/ウィスキー、生姜、シナモン、ハーブ、ミントなどは甘酒に合うようです。

冬には、温めて飲むと他の飲料とは違った体の温まり方を感じるでしょう。生姜を入れると更に効果的で、手足の指先まで温まるのを感じるかも知れません。

夏には、冷やした甘酒にミントを入れて飲むと、夏バテ防止の栄養補給とスッキリとした爽快感が得られるでしょう。コンビニで販売されている濃い炭酸で割ると爽快です。朝起き直後の空きっ腹に一杯の甘酒は腹に染みるように美味です。

ツマミと一緒に楽しむなら・・・

甘酒は飲み物で歯応えが楽しめないので、歯応えがあり、塩辛いもの。例えば、ちょっと漬け過ぎたぬか漬けなどの漬け物が合うようです。

その他の甘酒の用途

甘酒には糖分が多分に含まれており、甘味が強いので、料理で甘さを出したい場合には砂糖の代わりに。また、糖分は焦げると食欲をそそるような色合いになるので、料理に綺麗な焦げ色を出したい場合にも効果があります。さらに、米と麹から作り出された甘酒には照りと言われる輝きがあるので、料理に照りを出したい場合にも有効です。

甘酒の保存方法

常温で開放状態(蓋を開けたままにしておくような保管法)にしておくと非常に傷みやすく、逆に冷凍しておくと1年くらい持つといわれています。

伊勢惣のあま酒